イネの解説
水田で栽培されるものを水稲、畑で栽培されるものを陸稲という。
湿性植物で、多くは水田で栽培されるが、品種を選べば畑でも栽培できる。品種は大別すると、アフリカイネとアジアイネに分かれ、アジアイネには寒冷な気候に比較的強いジャボニカ種、高温を好むインディカ種がある。
ジャボニカ種には、日本で主食として食されるうるち米の他、粘り気の強いもち米、麹用の酒米、赤色の赤米、黒色の黒米、穂が黄色や紫色になる観賞用稲等、多くの品種がある。
水稲栽培では田と豊富な用水を必要とするが、家庭菜園ではバケツなどの容器を用いれば育てやすい。
家庭菜園のイネの育て方について
栽培適期
生育適温は15℃~30℃。20℃以上でよく育つ。4月上旬~中旬頃に育苗を開始する。
土壌の準備
水稲栽培では、用土はpH5.5~6.5程度になるよう酸度調整をするとよい。15リットル前後のバケツや栓ができる深めのプランターを用意し、土を入れて培地とする。市販の土を利用する際は、黒土6、赤玉土3、鹿沼土1の割合で混ぜるとよい。
元肥は、リン酸、カリをバランスよく含み、チッソがやや少なめの肥料を用いる。苗の植え付けの1~2日前に、水深5cm程になるよう水を張っておく。
陸稲栽培では、やや酸性寄りのpH5.0~5.5程度の土壌を好む為、石灰などによる酸度調整の必要は殆どない。堆肥などの腐植物に加え、元肥はリン酸、カリをバランスよく含み、チッソがやや少なめの肥料を施す。
栽培方法
水稲栽培では、種もみを育苗箱などに播き、草丈10cm程度になるまで育苗する。種もみを水に浸けて暖かい場所に置き、まめに水替えしながら管理すれば約1週間で発芽するので、それから育苗箱に播いてもよい。
苗が育ったら、生育のよいものを選び、水を張った容器に、2~3cmの深さ植え付ける。バケツの場合には中心部に4~5本、広さのある容器の場合には、株間20cm程度で2~3本ずつまとめて植え付けるとよい。
生育と共に稲は分けつして茎数が増えていく。草丈が40cm~50cm程に育ったら、雨の当たらない場所に容器を移動させ、水を抜いて土を軽く乾かす「中干し」をする。水を抜いて、土の表面にヒビが入る程に乾いたら水深2cm程になるように水を入れ、水がなくなったら再び同量の水を足す事を4回程繰り返しす。
中干しが終わったら、水深5cmになるように水を張り、以降は水量を保つようにする。9月初旬前後頃、穂が垂れて稲が黄変し始めたら水を少しずつ抜いて、1週間~10日程かけて土を乾かす。
追肥は、幼穂ができる7月下旬前後に、少量施す。
陸稲栽培では、畑に株間10cmで3~4粒ずつ種もみを点まきする。覆土の厚さは2cm程。ポットなどで草丈10cm程まで育苗してから定植してもよい。
追肥は、稲が分けつを始めた頃と幼穂ができる7月下旬前後に施し、同時に土寄せも行う。
収穫
穂が垂れて、稲の9割程度が黄変し、土が乾いたら収穫適期。株元から刈り取って、雨の当たらない場所に逆さに干して、10日程乾燥させる。
ポイント
- 土壌にチッソが多いと草丈が高くなって倒伏しやすくなる為、チッソ肥料は少なめに施す。
- 種もみは選別して、よい種もみを使用するとよい。水を入れた容器に種もみを入れて撹拌し、沈んだものを使用する。浮くものは未熟なもみ。
- 中干しの際には、用土の乾燥しすぎに注意する。バケツなどの小さな容器に入れた土は、天候によっては乾燥が早い為、こまめに観察して乾き過ぎを防止する。
- 出穂してからは生育に水を多く必要とする為、水切れさせないように注意する。
- 穂が充実してくると鳥害に遭いやすくなる為、テグスを張るなどの防鳥策をとるとよい。
- 陸稲栽培では、小まめに除草、中耕を行うと共に、水切れしないように注意する。
イネに発生する病気や生理障害一覧
イネのオススメ料理について
家庭で脱穀から籾すり、精米までを行う際には、まず、稲穂をしごくなどして籾を落として分ける「脱穀」を行い、次にすり鉢に少量の籾を入れ、軟球ボールなどでこするようにして籾殻を外す事を繰り返す「籾すり」を行う。
籾殻を取り除いた玄米は大き目のビンに入れ、白くなるまで棒で突くと白米と糠に分かれる。これを目の細かいふるいにかけて白米だけを取り出せば、「精米」が完了する。
精米しない玄米や精米した白米は、通常の米同様、炊いて食べられる。