トウモロコシの解説
日光と高気温を好む夏野菜で、草丈は150cm~2m近くまで育つ。
雌雄異花植物で、茎の先端につく雄花の花粉が風で飛ばされて雌穂から伸びる雌しべ(絹糸)につく事により受粉する(風媒)作物。比較的病気に強いので、家庭菜園でも育てやすい。
土壌の養分をよく吸収する為、畑のクリーニング作物としても有効に使われる。
現在主流のスイートコーンには、種実が黄色の品種の他に、白色、黄色と白の2色のバイカラー種があり、生食できるものも多い。品種によるが、大よそ80日~90日前後の栽培で収穫できる。また、黄色、白の他に、黒や紫色の種実があるワキシーコーン(もち種)は、若いうちに収穫して食すと、甘味は少ないがもちもちした食感がある。
その他、成熟した種実で収穫する品種に、ポップコーン用品種や加工食品用、飼料用、工業用に用いられるもの等がある。
家庭菜園のトウモロコシの育て方について
栽培適期
発芽適温は25℃~30℃。生育適温は22℃~30℃。寒さには弱いので、地温が十分に上がり、遅霜の心配がなくなる4月下旬~5月にかけて種まきをする(一般地の場合)。
土壌の準備
pH5.5~7.0以上と、土壌の適応範囲が広いので、必要に応じて石灰を混ぜて中和する。多肥を好む為、堆肥などの腐植物の他、チッソ、リン酸、カリをバランスよく含む肥料を多めに施す。地温の保持に、畝にポリマルチなどを張るとよい。
栽培方法
種まき
株間30cm、条間40cmの2条植えにする。マルチを張った場合には穴を開け、1ケ所に種を3粒ずつ、間隔をあけて種まきする。覆土は約2cm。軽く鎮圧してたっぷりと水遣りする。
種はカラスなどの食害に遭いやすいので、種まき時から本葉が見える頃までは、不織布のベタ掛けやトンネルなどで保護する。
間引き・追肥
発芽後、草丈10cm~15cm程の時に、生育のよいものを1ケ所に1株残して他を間引く。この段階までポットで苗作りをして、定植してもよい。
草丈が50cm程に育ったら、追肥と土寄せをする。マルチをした場合には、この時にマルチを取り除いて、株がぐらつかないようにしっかりと土寄せをするとよい。その後の追肥は、雄穂が出現した時に行う。
その他の管理
生育が進むと、株元から脇芽が伸びてくるが、摘み取らずにそのまま育てる。雄穂が出現してしばらくすると、茎の中間部分から2、3の雌穂が出現するので、一番上の雌穂だけを残して、その他は小さなうちに取り除く(ヤングコーンとして収穫できる)。
収穫時期が近付くとカラスなどの食害に遭いやすい為、防鳥ネットやテグスを張る等して防除するとよい。
収穫
雌穂の絹糸が出現してから20日~25日後が収穫適期。雌穂が十分に肥大して45度程度傾き、絹糸が褐色になった頃を目安にもぎ取る。穂の頭の方から皮を少し剥いてみて、粒の張り具合や色などを確かめてから収穫するのが確実。
トウモロコシの収穫適期は短く、適期より収穫が早いと粒が充実せずに甘みが薄く、遅くても糖度が低下して粒に皺が寄るので、適期の収穫を心掛ける。
ポイント
- 間引きの際には、残す株の根を傷めないよう、間引く株の株元をハサミなどで切って取り除くとよい。
- 背丈が高くなると強風などで倒れやすくなる為、土寄せはしっかりとする。
- 雌穂から伸びる絹糸(雌しべ)1本1本が実の1粒1粒に繋がっており、十分に花粉がかからないと確実に受粉できずに充実しない果実(歯抜け)になるので、ある程度の株数を近くにまとめて植えるのが好ましい。
- 雄花が開いたら、株を揺らしたり、切り取って花粉を絹糸に直接ふりかけるのも効果的。但し、別の品種の花粉がかからないようにする事。品種が混ざった果実になる為、近くに別の品種を栽培する事も避ける。
- 乾燥に弱いので、雌穂の肥大時には特に、土壌が乾燥しすぎないよう、必要に応じて水遣りをする。
- アワノメイガの食害に遭う事が多い為、卵のうちに駆除したり、受粉を終えたら雄穂を切り取る、幼虫の侵入防止の為に雌穂にカバーをかける、または、薬剤散布等の対策をするとよい。
トウモロコシの主な品種一覧
トウモロコシのコンパニオンプランツ一覧
トウモロコシのオススメ料理について
房のまま、蒸したり、茹でたり、焼いたりして食すのが一般的。
粒をばらして、揚げたり、スープやポタージュ、サラダ、他の食材とあわせた加熱調理などにも向くので、調理用途は広い。
トウモロコシは糖度が落ちやすい野菜なので、収穫したらなるべく早く加熱するのが好ましい。