ワサビの解説
独特の爽やかな風味と辛みをもつ日本原産の多年草植物。同品種でも、渓流や湧水で栽培されたものは水ワサビや沢ワサビと呼ばれ、畑で栽培されたものは畑ワサビ、陸ワサビなどと呼ばれる。
一般的にワサビは太く肥大した根茎を食用とするが、畑で栽培されたものは根茎が太く肥大しづらいので、主に茎葉や花芽を食用とする。生育には冷涼な気候を好み、強光を嫌う。
水ワサビは砂土などの透水性のよい土壌と長期間に渡って一定温度の流水を必要とする為、栽培は難しいとされている。畑ワサビは、冷涼な気候と半日陰の環境や強光を遮る為の遮光手段、湿り気のある土壌があれば栽培できる。
種からも栽培できるが、苗を購入して栽培するのが比較的容易。多年草で、1度植え付ければ茎葉や花は繰り返し収穫でき、株分けやこぼれ種などでも株を増やせる。
家庭菜園のワサビの育て方について
栽培適期
生育適温は8℃~18℃。28℃を超えると病害が発生しやすい。春(3月~4月頃)か秋(9月~11月頃)に苗を植えて育てる。
土壌の準備
畑ワサビはpH6.0~7.0程度の土壌を好む為、酸度調整が必要な際には石灰を混ぜて中和する。堆肥などの腐植物に加え、元肥はチッソ、リン酸、カリをバランスよく含む肥料を施し、保水性と排水性のよい土壌作りに努める。
栽培場所は、土壌が乾燥しづらく、強光が当たらない半日陰の環境が好ましい。水ワサビは、家庭菜園では水が漏れない容器に川砂などの砂礫土を入れて水深2cm程になるように水を張り、高温にならない半日陰で育てる。
栽培方法
株間20~30cmで生長点を埋めないように苗を植え付け、毎年6月頃と10月~11月頃に緩効性の追肥を施す。
水ワサビの栽培では、常に10℃~15℃程度の水温を保つよう注意し、水を極端に増減させる事なく小まめに水替えを行うようにする。
収穫
畑ワサビは、春に生育に影響のない範囲で茎葉を摘み取って収穫する。花芽も花ワサビとして収穫できる。根茎は肥大しづらいが、2~3年栽培を続けるとある程度太いものが収穫できる。
水ワサビは、花芽が出たら摘み取り収穫し、植え付けの翌年以降より、肥大した根茎を抜き取って収穫する。
ポイント
- 日が当たる栽培地では、春から秋まで遮光ネットなどで遮光して栽培する。
- 土壌の乾燥を防止する為、敷き藁などをするとよい。
- 虫害に遭いやすいので、虫の多い時期にはトンネルなどで防除する。
- 連作障害を防止する為、3年程度を目安に栽培地を変更するとよい。
ワサビのオススメ料理について
根茎はすりおろして薬味にするのが一般的だが、細かくきざんで甘めの醤油味で煮つけても食べられる。
葉や花芽もピリッとした辛みを持つので、細かくきざんで薬味に利用したり、さっと茹でておひたしや和え物、汁ものなどにも利用できる。さっと茹でたものをきざんで、振ったり揉むなどして辛みを引き出してから醤油漬けにすると美味。