キクラゲの解説
中華食材には欠かせない食材で、コリコリとした食感が特徴。形状が人の耳に似ている事から、漢字では「木耳」とも書く。
一般にキクラゲと呼ばれて流通しているものは乾燥保存に適した「アラゲキクラゲ」で、「キクラゲ」は乾燥保存にはあまり適さない事から、流通が少ない。その他、白色の「シロキクラゲ」が食用とされている。
以前は乾燥品の流通が一般的であったが、近年では生のキクラゲもよく見られる。
栽培には2通りの方法があり、ブナやナラ、カエデなどの広葉樹を伐採した原木を培地にして栽培する原木栽培と、オガ粉などを固めた菌床を培地にして栽培する菌床栽培がある。
原木栽培では、通常は原木に種菌を接種して、適度な温度と湿度を保つよう屋外や専用施設で管理し、接種後の夏季より収穫を開始する。環境が適していれば、同じ原木から数年間続けて収穫をする事が出来る。
菌床栽培は、オガ粉に米糠やふすま、おからなどを混ぜて円筒又はブロック状に圧縮成型したものを培地にし、殺菌、種菌接種を行って栽培するが、初心者は、種菌接種済みの菌床栽培キットを購入して栽培すると手軽。室内で適切に管理すれば、2~3週間程で収穫でき、同じ菌床から複数回収穫ができる事もある。
家庭菜園のキクラゲの育て方について
栽培適期
発生温度は14℃~30℃程で、他の多くの菌茸類に比較して高温期に発生、生育する。原木栽培では主に秋~3月頃までに接種を行う。
菌床栽培では、室内気温が適温であれば周年栽培が可能だが、特に初夏~秋が適している。
土壌の準備
原木栽培では、伐採したりホームセンターなどで購入するなどしてブナやナラ、カエデ等の一般広葉樹の原木を用意する。
菌床栽培は、専用の菌床栽培キットを購入するとよい。
栽培方法
原木栽培では、原木にドリルなどで数箇所の穴をあけて専用の種駒を接種する。その後、仮伏せ(原木を棒積みにし、ブルーシートや遮光ネット、ムシロなどで被覆して湿度を保つ)をして、菌糸の発生と活着を促す。
6月頃より本伏せを行う。雨は当たるが直射日光は当たらない環境(少量では雨の当たる日陰や遮光ネットで覆った露地トンネル内など)に井桁に積むなどして、キクラゲの発生を待つ。2~3ケ月毎にほだ木の天地返しを行うとよい。
菌床栽培キットでは、説明書に従って菌床に切り込みを入れて散水、保温、保湿などに努めれば、2~3週間程で収穫をする事が出来る。
収穫
接種同年の夏季から収穫が始まり、翌年からは春から秋までの長期に渡って収穫が出来る。
傘が5~8cmに生育した頃が収穫適期。根元からもぎ取る、またはハサミやカッターなどで切り取る。
ポイント
酸欠に弱い為、菌床栽培では常に袋を被せた状態は避け、浴室などの高温多湿の環境で管理するとよい。乾燥にも弱いので、若干の乾燥状態が見られたら、十分に散水するなどして適宜水分を与える。
夏季に生育する為に虫害に遭いやすく、また、カビなどにより腐敗しやすい。菌床栽培の際には収穫時に根元が残るとそこから腐敗する事があるので、根元まで残さずに摘み取るようにする。
キクラゲに発生する病気や生理障害一覧
キクラゲに発生する害虫一覧
キクラゲのオススメ料理について
生キクラゲは石づきを取り除いて適当な大きさに切り、炒めものやスープなどにそのまま使用する。和え物には20~30秒程熱湯で茹でてから使用するとよい。
乾燥キクラゲは水やぬるま湯に20分前後浸けてからよく洗い、生キクラゲと同様に使用する。
シロキクラゲは生または戻した乾燥物を、色を生かしてスープや、甘煮にしてデザートなどに主に使用する。
生キクラゲは乾燥キクラゲに比べると食感にぷりぷりした弾力がある。戻した乾燥キクラゲは繊維質が強く、シャキシャキした食感に富む。
アラゲキクラゲは完全に乾燥させれば長期保存も可能。キクラゲ、シロキクラゲは乾燥させると酷く硬化したり変色する事がある為、一般家庭での乾燥にはあまり向かない。いずれも、冷凍保存は可能。